MONMON PRESS
エッセイマンガ家 イラストレータ- MONの仕事
好きなもの
わたしはずっと、「こんなのが好き」とか「これのここが好き」とか、そういうことを書いたり描いたりする仕事をしてきました。
べつにそれは、うんちくとかこだわりじゃなくて(まあ、しょうもないこだわりがあることはあるんだけど)、あくまで自分がどう思うか、好きについて語る、という立ち位置です。
その語り口については一応、芸だと思っているので、そのものを好きじゃない人にも、読むことは楽しいと思ってもらうように苦心しています。

読者のかたは、その「好き」に、共感されることもあるだろうし、されないこともあるでしょう。
同じ!と思ってもらっても、そこは違うなーって思ってもらっても、どっちでもよくって、わたしが自分が読者であるときも何がおもしろいかと思うかというと、作品と「会話」ができることなんだと、最近思うようになりました。

何かマンガを読んでもエッセイを読んでも小説でも絵画でもデザインでも服でもアートでもゲームでも風景でも写真でも雑貨でもコーヒーカップでもお菓子でも料理でもなんでも、まず「そのもの」から、「こうなんですよ」ってメッセージがくる。
わたしは、「ひえー、それすごい」とか「そんなんあり?」とか、「うわ、きれいですね」「そうきたか」「いや、それめっちゃウケます」とか「そうですかあ?」「そこはいいけど、ここはちょっとちがう」とか、そういうふうに話しかける。
そしたら向こうから、「じゃ、これならどうですかね」とか「まだコレあるんスよ」とか「じつはね。。。」とか、またメッセージがくる。
わたしは「うあー、それで?」とか「ほんとですよねえ」とか「でも、わたしの場合はさあ。。。」とか思う(続く)。
わたしの大好きな、MOMAにあるロスコの絵画なんて抽象だけれど、わたしはこの絵と数時間会話ができる。

そんなことのくりかえしが、なんどもできるもの、なんどもこころがふるえて、いっしょにいてほしいと思うものが、わたしが好きなものである。

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むかし、モーニングで「カリフラワーズ・トーク」っていう見開き2ページのイラストエッセイを週間連載してたとき、担当さんに、この連載は、好きなものだけ語るっていうふうにしていきましょうって言われました。
いまはそれ、むっちゃ感謝しています。
そしていまでもわたしは、なにか語るときに、わざわざきらいなものは描かないし書かないし、いやみもいわない。
皮肉や毒をおもしろく描けるほどわたしは頭が良くないし、要領よくないし、ヒエラルキーとか出自とか、そういうものがいちばん苦手だし、人は人だし、人とわたしがぜんぶ好きなものあうなんてありえないしそれだからおもしろかったりするし、誰かが言ってることが絶対とかありえないし(わたしが言ってることもだれかの絶対になることはない)、みんな環境や年や経験によって、考えも好みも変わるものだし、変わらないものもあるのだし、とにかく正直になってるしかない。
小心者ですから。

映画なんかのことを語ろうとするとき、エッセイやイラストなど作品にするのではなくて、ただの感想を書くときは、ここはどうしても、みたいなことは書くことがありますが、作品にするときはなるべく書きません。
映画のキャラの相手の好みとか、そういうのはわたしとは違うなあとか、そういうのは、ずばすば書くけれど、それと映画自体の評価は別のこと(それは「会話」だから)。

それと同時に、むりやり何かを紹介するということはしないできました。いちどモーニングで編集部からの提案でやったんだけど、どうしてもうまくできなくて、担当さんもあきらめた(単行本には入れてません)。
映画の宣伝の人と仲良かったとき、無理に頼まれて少しだけその映画のことをエッセイに入れたことがあるけど(おもしろいとは書けなかった。キャラが着てるものを、テーマに合った例として描いた)、未だに後悔してるから、嫌われてもいいからぜったいしないと誓ったのは20年くらい前のこと。
だから広告の仕事は途中でやめたものもあります。
自分のエッセイに描くことの取材は自腹です。

そういうのが仕事としてできてきたことは、とてもラッキーなことだったと思います。
いまは、そういうのを描く媒体がないので、自主制作でやってるわけだけど、それはそれで、立ち位置も、やってることもも同じです。どっちはどう、ということはない。

今年、今までの仕事をまとめる展覧会みたいなものを2件企画していて、細部を詰めながら、そんなことを思った、冬の夕方。
冬の夕方というと、わたしは「黄昏は逢魔の時間」(大島弓子)を思い出す。そして、覚えてるセリフや絵を反芻する。
そんなふうに思い出されたらいいな。
コメント
この記事へのコメント
Re: タイトルなし
がんばり過ぎ、は、いいですねえ(笑)。

本を持っていってくださってたの、感激です。
わたしも何を持って行こうかさんざん悩んだ思い出があるので、そこで選んでいただいたなんて。
2012/02/27 (月) 11:53:13 | URL | MON #-[ 編集]
うわっ! ほんとにレスいただけるとは。。。 嬉しすぎます(笑)。

アロハは知らないメーカーの南国の空のような青のです。張り切ってデートに着ていったら、「ちょっと頑張りすぎ」と彼女に言われたのを覚えています。確かに須磨あたりでは浮いてたかも。

おっしゃるとおり、なかなか捨てられないものってありますね。ちなみに私の持っている「カリフラワーズトーク」の本も、私と一緒に海外で10年近く暮らして戻ってきた、思い出の一品です。
2012/02/09 (木) 04:22:52 | URL | G #-[ 編集]
Re: タイトルなし
こちらこそ、ほんとにどうもありがとうございます。
覚えていてくださるだけでもうれしいです。
わー!どんなアロハをお買いになったんでしょう~。

うちにはあのころ着ててアメリカに持ってって日本に持って帰って、まだたんすにあるものあります(赤と黒のブロックチェックのジャンパーとか、毛布みたいな裏地のついたカーハートのオーバーオールジャケットとか)。
なんかいまは着ないんですけど、すてられないんですよね。

2012/02/07 (火) 02:34:43 | URL | MON #-[ 編集]
ものすごく久しぶりにカリフラワーズトークを読ませていただきました。めっちゃ懐かしい。。。 

今のようにネットに情報が溢れているような時代じゃなかったから、ファッションから映画まであの連載に載っていた全てを目を皿のようにしてチェックしていたのを覚えています。あれを見てから買いにいったアロハシャツが、いまでもタンスの片隅にちょこんといてくれたりして。

すごく素敵な連載でした。ちょっとお礼がい言いたくて。

乱文にて失礼しました。
2012/02/06 (月) 20:47:35 | URL | G #-[ 編集]
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