MONMON PRESS
エッセイマンガ家 イラストレータ- MONの仕事
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
重さと軽さ
阪急京都線とかJR京都線とかJR湖西線で本を片手に泣いている女がいたら、それはわたしかも。あやしくてすみません。ときどき泣きながらパン食ってるかもしれません。ますますあやしい。
ここ数カ月、まんが「大奥」で泣き(数度)、まんが「ワンピース」で泣き(何度も)、そして今週は二度ほど、小説「存在の耐えられない軽さ」で泣いてしまった。

なんというのかなあ、「そうですよねえ」とか「いや、それはつらいですよ」とか「だからつらいんですよ」とか「そうそうそうなんです」とか「そんなことわかってるけどしかたないっしょ」とか「そうするしかないですよね」とか「ある、それ」とか「そんなことするからつらいんじゃん」とか「わかってるっていってるじゃないですか」とか「うー」とか「あー」とか「うう」とか「きー」とか「もう、だから」とか「あかんやろそれは」とか「だからそれはしんどいって」とか「ああでも」とか「どうしようもないってこういうこと」とか「しかたないけどでも」とか「そういうことするからよけいつらいよ」とか「もー、重くてええねん」とか、見開きごととかページごとに文章とつい対話して、いちいち考えこんだりしてしまい、それらはけっこうひりひりした部分だったりするんだけど不快ではないのは何でしょう。

小説家の著者が小説のためにつくられた人物について語るという構成になっているんだけど、その語りの、あっちにいったりこっちにいったりするアソビも楽しく、なんどもかみしめたいと思う深い文章にひきこまれます。みごと。
歴史のうねりとともに人の流れや気持ちは分散し収束し、なんともいえない余韻を澱のように残して物語はおわるのですが、「ひとことにくくれないこと」が語られている小説。あらすじだけ聞いたら、ふうん、よくあるかもねで終わっちゃうような話だし。
「あれってこういうことだよね」なんてこと、案外世界にはないのじゃないかと最近とみに思う。よのなかには、その実話をまんがや小説にしたらあまりにもとっぴすぎて嘘くさいと思われるようなできごとがあちこちにころがっていて、またはうわさにもならない一見普通なことのなかにも複雑な思いや状況や偶然がからみあっていて、よのなかは重層的で複雑で想像がつかない展開をはらんでいる。

この、1970年代にチェコからフランスに移り住んだ著者による1960年代のチェコ(舞台はスイスにもカンボジアにもアメリカにも飛ぶ)の話を、2010年の春の寒い日の午前に遠く離れた日本の関西の電車のなかで、東欧からイギリスそしてパリそしてアメリカに移り住む少女を描いた映画のサントラを聞きながら読んでいたら、とつぜん女子高生が倒れて駅員さんと売店のおばちゃんにかかえられ運ばれていった。その、倒れるときの、どさっという音を聞いて、人間って重い音がすると思った。おばちゃんが女子高生を介抱するため店のシャッターを閉めたガラガラガラという音とともに電車は出発した。

ラストにも泣いたけど(犬の話でやられた部分もかなりありますし超かわいい豚も出てくるんですよね)、途中つい泣いてしまったのは、トマーシュのくつしたが片方見つからないくだり。ここは全編でめずらしく、サビナの弱さがちらりとみえるところ。サビナがこんだけ孤独とひきかえに自由と軽さを共有しようとしているのに対してトマーシュのマナー違反。そこはトマーシュの甘えた部分でもあるのだけど、いじわるくらいしたくなったサビナの、つい出てしまった弱い部分に泣けてしまった。その後のトマーシュの行動によっては、くつしたは出てきたかもしれないのに。
わたしは基本弱くて重くていいもん強くなんていらんねーと思っているけど、テレザみたいな正攻法ではしんどいと思うたてまえとどうでもよい美学みたいなもんでじぶんをしばっていて、でもそこがおろおろ迷って膝カックンになる原因なのはまちがいない。正攻法こそがテレザの強いところ(ただし、わたし含め大多数の人が、あーもう、とか思いつついちばん共感するのはテレザだろうし)、じぶんでは弱いと思っていていちばん強いのはテレザではないかなー。

もちろん、トマーシュはダニエル・ディ・ルイスでテレザはジュリエット・ビノシュのイメージで読んじゃってるんで、映画も見直してみたくなりましたけど、映画と小説は別のものと考えた方がいい気がするな。
著者のミラン・クンデラがこれまた男前で……、いえいえ、だからというわけではないですが、他の小説などもまとめて注文しました。同じ著者の作品をぜんぶ読んでみたくなるってひさしぶり。

長いうえにおまけ。
わたしが湖西線で食べているパンは、たいてい京都の山崎駅前のブーランジェリー・エトルタのもの。ここでパンを買いたいので、ここで乗り換えて出勤してます。とくに好きなのは、ソーセージとザワークラウトがもちもちのパン生地にくるまれてるもの。朝、これが焼きたてで買えたりすると、いちにち幸せです。いつもあるわけじゃないんだけど好きなのは、バゲットにおいしいバターとサラミだけがはさまれてるシンプルなサンドイッチ(こちらのかたが修行中にはまったサンドイッチだと以前POPに書いてありました)。いつもつい一気食いしてしまうメープルラスクも大好き、それに日常使いできるリーズナブルさ。おすすめです。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 MONMON PRESS all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。