MONMON PRESS
エッセイマンガ家 イラストレータ- MONの仕事
分子
学者とか大学の先生ってようするに、何かがすっっごい好きな人なんだ、と、わたしが感じた最初のできごとは、大学時代(外国語学部)週一度とっていたモンゴル語の先生が、ある日、なんだかニコニコと、とってもうれしそうなのです。授業が始まると、誰も何も聞いてないのに、「ぼくね、昨日ね、これ手に入れちゃったんだよね。これでこれから10年くらいずっと研究できるんだよね」と、200年くらい前のモンゴルの詩集を見せてくれました。わたしは思った。そうか、この人は、ただただ、それが好きなのだと。
その次は、どっか外国の大型天文台の特集テレビを見ていたとき、そこで働いている研究員の人(アメリカ人)が、ひととおり、宇宙からの電波を解読するというような話のあと、机の下から分厚いスケッチブックを何冊も、どさっと出してきました。そこにびっしり描いてあったものは、こういう電波ならきっとこういう星で、そういう星ならこういう宇宙人がいるはず、という何百枚もの宇宙人のスケッチでした。そうか、この人は宇宙人に会いたくて(または、宇宙人を想像するのがあまりにも好きで)こうしてるんだ……。

「どんなささいなことがらについてでも、それを愛し、そのことについて調べたり、試したりしている一群の人々が必ずいるー中略ー人々は、そのことが好きで、ずっと好きであり続け、そして小さな縦穴を深く掘り続けている~」
さっきまで読んでいた「世界は分けてもわからない」by福岡伸一の冒頭文章です。この方の本を、「マリス博士の奇想天外な人生」の翻訳者であることからつながって(まんまとアマゾンの「この本を買った人はこんな本も買っています」にはめられて)、「生物と無生物のあいだ」「できそこないの男たち」「もう牛を食べても安心か」などなど、続けて読みました。
で、この著者のかたの好きなものは「トリプトファン」(さっき読んだのにぜんぜん説明できないわたし。えーっと、アミノ酸の一種…)。カッコいいなあ。マリス博士も巻末の訳者インタビューで答えています。「わたしはナロー(狭い)知識につねに注目する。ナローな知識こそがブロード(広い)世界を説明することができる。とある分野それじたいは狭い専門知識だけど、この世界のすべての局面と連結する細部を含んでいる」って。

トリプトファンとかヌクレオチドとかいう名前だけ覚えてちょっとえらくなった気分もしてますが、ニューヨークのロックフェラー大学のしんとした廊下の想像をしたり、ボストンってつまんなさそう(すみません)と思ったり、須賀敦子の文章と、こういう分野の本で再会できてびっくりしたりとか、ロスのゲティ・センター(美術館)へ行ってみたくなったりとか、アメリカのポスドクの生活の実態がおもしろかったりとか、実験の過程が案外アナログで(すりつぶすとか)地味だったりすることに感心したりとか、まあ、こういう読み方もあってもいいよね。もちろん、狭くて深い主題があってこそ、ちりばめられたとっかかりやつながりが効いてます。理系があまりにも苦手なわたしにも、おもしろく読めました(ややこしいところはとばしちゃったけど)。
ちなみに、わたしの理系レベルは、物理は等速度運動まで、化学はイオンでパニック、生物は学校の顕微鏡で見える範囲まで(ゾウリムシとか?)。
でも、動物はすべてまず「チクワ」状になることから始まるというところ(チクワの管は、内部であるけど外側である)や、分子とか(とか、って何だ?)って、なんかすごい高速で働いてくれてて、消化酵素とかもすっごいたくさん作ってくれてて、細胞とかもすごい速度で入れ替わっているというのがおもしろかった。なんかちっちゃい人たち(分子?)にそんなにがんばってもらってるんだったら、わたしもがんばんなきゃー、と思いました。

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今日の映画は「タワーリング・インフェルノ」。
ポセイドン・アドベンチャー」とか、このころのパニック映画はおもしろい。「タワーリング~」は、ポール・ニューマン、スティーブ・マックイーン、フェイ・ダナウエイ、フレッド・アステア、リチャード・チェンバレン、そしてなんとOJシンプソンなど超豪華キャストに今更びっくり。消防士のスティーブ・マックイーン、めちゃめちゃカッコイイです。そして、「ポセイドン~」もそうですが、泣かせます。泣かせどころがまたうまい!泣かせるのにべたべたした演出じゃないのも好き。「タワーリング~」ですごいなと思ったのは、パーティーに集まった紳士淑女のみなさんが、ほんの一部をのぞいて、ほとんど取り乱さないことなんですね。
「ポセイドン~」を、13年程前、釜山のホテルのテレビで夜中に見出してやめられなくなり(そもそもその安ホテルの部屋がディスコの真下でうるさくて眠れなかった)、結局眠れず,その日帰国だったのですが、徹夜のための貧血&おなかこわして(たぶん前日のヒラメの刺身にあたった)空港で倒れたのも、今では笑える思い出です。
そういえば、マリス博士が、OJシンプソンの裁判にDNA鑑定のやり方について証言するため関わっていたとというくだりもおもしろかったのだった(マリス博士は、DNAの断片を増幅する装置を開発してノーベル賞をとったかた←それをガールフレンドとのデートの最中に思いついたというところから彼の本は始まります)。
コメント
この記事へのコメント
Re: ありがとうございました
DM、無事届いてよかったですー!
このようにコンタクトをとってくださって、ほんとにうれしいです。
わたしは雑誌に書くようになるまえは、ずっと自費出版で1冊1冊、ゆうびんで送っていましたので、結局大回りしてもとにもどった、そんなかんじなのです。

『タワーリング~」
そうそう、あとであの人はああやって死んでしまうのに、と、ストーリーのはじめからわかっていても、やっぱりその場面にくると、うわーと思い、泣いてしまうみたいなのって、ありますよねー。
2009/12/30 (水) 23:48:52 | URL | MON #-[ 編集]
ありがとうございました
DMが今日届きました!ありがとうございました。
こんな形で好きな著者さんとコンタクトが取れるなんて、カリフラワーズ・トークを手に取った時代には思いも寄りませんです。

今や「古い過去の」映画と片付けられそうな「タワーリング~」等あの時代の映画ですが、何かの折に目に留まると、つい止められない停まらない、です。
以前は見落としていたとか、忘れてしまっているということもありますが、それ以上に、現代の特撮技術には劣ってもそれをカバーしても有り余るくらいの脚本や役者など映画に対するパワーを、これでもかって位に感じ魅せられてしまいます(ストーリー展開等きっちり把握してるのに)。

技術は劇的に進歩し世の中便利にはなりましたが、‘ドラマティック’はその分少なくなったと思う今日この頃です。
2009/12/29 (火) 16:54:28 | URL | ちぃやん #4RSyl9Sg[ 編集]
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